M&Aから内部統制まで日本語で相談できるCrowe会計事務所のジャパンデスク
2019/04/29
AGSコンサルティング出身の日本人税理士が常駐する会計事務所Crowe Malaysia
Crowe Malaysia / AGSコンサルティング
ジャパンデスクダイレクター
八鍬 信幸 さん
日本国税理士資格保有者。KPMG税理士法人(東京・国際部)において大手外資系企業、日系上場企業の国際税務アドバイザリー業務に従事したのち、AGSシンガポール入社。2018年からCrowe Malaysiaに出向し、ジャパンデスクを統括。
◆AGSコンサルティング◆
創業50年の日本の老舗コンサルティングファーム。日本国内に東京、大阪、名古屋、福岡の4つの拠点、海外はシンガポール、香港、そしてマレーシアにジャパンデスクを開設している。スタッフは370人以上、顧客数は2000を超える。IPO支援、内部統制サポート、海外のM&Aなどアドバイザリーで豊富な実績あり。
◆Crowe Malaysia◆
「ビッグ4」と言われる世界的大手4大会計事務所に次ぐ規模のグローバルアカウンティングファーム。マレーシア国内に13の拠点があり、スタッフ数は1300人。2012年以降のIPOサポート実績は国内の会計ファームで最も多い。
「コンサルのAGS」と「監査のCrowe」の両方の強みをもつジャパンデスク
―八鍬さんは、AGSコンサルティングから出向という形でCrowe Malaysiaのジャパンデスクを仕切られているわけですが、どういう経緯でCroweと提携することになったんですか?
八鍬 もともとAGSシンガポール支社に5年ほどいたのですが、マレーシアに関わる案件も結構あり、出張ベースでマレーシアには毎月のように来ていました。
マレーシアにも拠点を置こうとなり、マレーシアのいろんな会計ファームと話をしたのですが、AGSが得意とするM&A(買収や合併)や内部統制の案件をマレーシアでやっていくには、質と規模、ネームバリューが必要になります。そこで、ビッグ4に次ぐ規模のCroweとの提携を決めました。
―マレーシアの会計事務所業界におけるCroweジャパンデスクの強みとはなんでしょうか?
八鍬 会計事務所の業界は、「規模」の軸と「サービス内容」の軸で分けて考えるとわかりやすいと思います。
「サービス内容」は「会計監査系」か「コンサル(アウトソース)系」に分かれます。
Croweは、マレーシアで第5位の規模で、ビッグ4に次ぐ大手ですが、一般的に大手会計事務所が得意とするのは「会計監査系」の業務といわれています。
対してAGSのような中規模の会計事務所は、会社設立や記帳代行、税務申告、IPO(株式公開、上場準備)支援やM&Aサポートなど「コンサル(アウトソース)系」を得意としているところが多いのです。
Croweのジャパンデスクは、Croweの規模を活かして会計監査もできるし、AGSが積み重ねてきた経験を活かし日系企業の二―ズに即したコンサル(アウトソース)業務もできるという両方の強みを持っています。
あと、私自身は前職のKPMG税理士法人で国際税務の実務を経験しており、マレーシアではそういった日本人税理士がいる会計事務所は少ないので、そこも強みといえると思います。
「日系企業のニーズ」に合ったサービス提供ができる海外の会計事務所は貴重
―「日系企業のニーズ」とはどういうものなんですか?
八鍬 「阿吽の呼吸」だと思います。
日本的サービスというものは、「5伝えたら10やってくれる」、契約書に明記されていなくとも言葉の裏や隠れた要求も汲み取ってサービスしてくれる、そういった感覚が日本人の中にはあり、日系企業は会計事務所に対してもそういった期待値を少なからず抱いていると思います。ただ、特に海外の会計事務所では、「5」伝えたら「5」しかやってくれません。
AGSは長年日本の中堅企業のサポートをして積み重ねてきたノウハウがありますし、日系企業がどういうサービスを必要としているのかを熟知しています。海外の拠点でも日本的サービスの提供をいつも心がけています。
また、私は日本の税理士資格を持っており、Crowe Malaysiaの社内には各分野のプロフェッショナルがいて体制が整っていますので、日本の法律とマレーシアの法律の違いを理解したうえでのサービス提供ができます。
日本のAGSから来る案件は「M&A」や、IPOのための「内部統制」
―日本のAGSとは業務ではどのようなつながりがあるんですか?
八鍬 AGSは、2000社以上の顧客を持っており、そのなかには海外企業のM&Aに興味を持っているところも多くあります。東南アジアの企業を買収したという場合は、本社経由でクロスボーダーのM&Aの案件が来ることもあります。
また、AGSはIPOサポートで多くの実績があるのですが、IPOを目指している企業が海外に子会社を持っている場合、その内部統制の案件が来ることもあります。
―マレーシアで多い案件といえば、M&Aや内部統制なのですか?
八鍬 そうですね。シンガポールでは、一時期、日系企業が進出ラッシュがあり、ゼロから会社を立ち上げるケースが多かったのですが、最近では海外にすでにある会社を買収して進出するケースが増えています。
マレーシアでもここ数年、日本の中堅中小企業によるマレーシア企業の買収の案件は増えてきています。
また、内部統制の案件も、2015年に東芝の不正会計が発覚してから、海外子会社の会計にも厳しい目が向けられるようになってきたことから増加しています。
クロスボーダーM&A-アドバイザリーからデューデリジェンス、PMIまで
―M&Aの案件ではどういう業務が必要になるんですか?
八鍬 M&Aとひと口に言ってもさまざまな段階がありますが、大きく分けると以下の4つになります。
- M&Aの仲介をするFA(ファイナンシャルアドバイザリー)業務
- 買収対象企業の財務状況をチェックするデューデリジェンス
- 適正な評価額を計算するバリュエーション
- 統合後のサポート(PMI)
内部統制の案件は3つのステップで進める
―もう一つ、マレーシアで増えているのが内部統制の案件なんですね?「内部統制サポート」って具体的にはどんなことをしているんでしょうか?
八鍬 内部統制は3つのステップで進めます。
- フローチャートの作成 日々の業務の「見える化」
- 業務記述書 ①のフローチャートの内容を細かく文書化する
- リスクコントロールマトリックス(RCM) フローチャートのリスクがありそうな点をリスト化
3つ目のRCMで見つかったリスクを解決するまでサポートをする場合は、四半期ごとなど定期的に改善度合いをチェックします。基本的にこの一連の流れが「内部統制サポート」ですね。
内部統制で大切なのは、社内でお金にまつわる不正が発生しないようなルールを作ること。
お金を動かす際、申請者と承認者は別にするとか、小切手のサインは複数人がするとか、金庫に入れる現金の上限を決めておくとか、すごく基本的なことですが意外に徹底できていないことは多いです。
マレーシア子会社のJ-SOX対応支援も
―依頼する企業の目的は何でしょうか?
八鍬 単純に海外子会社の状況を確認したいというケースや、横領など問題が発生してしまったので、管理体制をしっかりしたいというケースなどさまざまですね。
日本の本社の方と一緒にマレーシアの子会社に行って、経理担当と面談したり、実際に帳簿を見て内容をチェックして、口頭で状況を説明することもありますし、レポートを提出する場合もあります。
もし大きな問題が見つかれば、本格的に管理体制強化のサポートもします。
あと、AGSの日本本社はIPOサポートの実績が多いのですが、IPOの準備をしている日本の企業が海外に子会社を持っている場合、日本の金融商品取引法によって義務付けられているJ-SOX(内部統制監査制度)の対応が必要になります。その対応をアウトソースされることも多いです。
J-SOX対応でも、先ほどの3つのステップは同じです。そのほか、「職務権限規定」や「与信管理規定」「債権管理規定」などの規定を整備する必要があります。
―うかがってきたような会計監査や税務のお話は専門用語が多いので、海外では日本語で相談できると安心ですね。
八鍬 そこが私たちジャパンデスクの強みですね。
日本人の専門家がいる日系会計事務所はマレーシアには他にもあります。
しかし、Croweのジャパンデスクは日本語で相談できるだけでなく、Crowe Malaysiaという規模の大きなマレーシアの会計事務所と、日本のAGSコンサルティングという準大手会計事務所の両方のサポートが一つの窓口で受けられるという強みがあります。
マレーシアのジャパンデスクで、この強みを活かしてもっと多くのマレーシアの日系企業の問題解決のお役に立てるとうれしいですね。
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